tama’s diary

慢性腎臓病の猫の治療記録

血中フリー体AIM増加用組成物 特開2021-75545

「猫が30歳まで生きる日」の著者 宮崎徹さんのAIMに関する特許が公開されていたので読んで、簡単に要約してみました。

本の中で著者宮崎先生は「ドリアンに含まれる物質にAIMを活性化し、IgMから外す作用があることを見出した。2018年には活性化する食品添加物を同定して特許出願した。その成分で猫のAIMもIgMから外れることが判った。一般食として2022年春ごろまでに発売したい。そして、療法食も作りたい。」と書いています。

そして、特許では、「チオール基を有する化合物には、通常血中に存在しないフリー体のAIMを増加させる作用があることがわかり、急性腎障害、脂肪肝肝細胞癌、肥満、真菌性腹膜炎、多発性硬化症などのフリー体AIMが関与する疾患の予防改善剤として期待される。」としています。

簡単に言うと「チオール基を含む食品(例えばシスチン)を猫に与えると腎臓によい」

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特許「血中フリー体AIM増加用組成物 2021-75545」を要約すると

特開2021-75545 | 知財ポータル「IP Force」

AIMは、生体中ではマクロファージによって産生されるが、血液中では、IgMと複合体を形成しており、不活性化されている。そして、腎疾患や肝臓疾患の進行に伴って、フリー体のAIMが出現し、疾患の改善にプラスに作用する。
例えば、急性腎障害、脂肪肝肝細胞癌、肥満、真菌性腹膜炎、多発性硬化症などさまざまな疾患症状に対し抑制的な効果を示すことが確認されている。特にネコに腎不全が多発するのは、ネコのAIMが、AIM−IgM五量体(複合体)から解離しないためであることが明らかになっている(非特許文献4)。
しかし、これまで血中に存在するIgMの五量体とAIMの複合体からAIMをフリー体として生成させる手段や薬剤は提供されていない。

本発明者らは、天然物や化合物のAIMに対する作用を研究する過程で、多数の天然物や抽出物のスクリーニングを行い、化学構造式中にチオール基を持つ化合物が特異的に、血中のAIMとIgMの複合体からAIMを生成させることを見出し、本発明をなした。
すなわち、本発明は、血中のAIMとIgMの複合体からAIMを生成させ、血中のフリー体のAIM濃度を上昇させる作用を有する組成物を提供することを課題とする。

血中のフリー体AIM増加用の組成物は、化学構造式中にチオール基を持つ化合物で、1−プロパンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、シクロペンタンチオール、2−ヒドロキシベンゼンチオール、ジヒドロリポ酸、L−シスチン、還元型グルタチオン、L−システインコエンザイムA、γ−グルタミルシステインからなる群から選択される1又は2以上の化合物である組成物。

【実施例1マウス】

動物(マウス)を用いた経口投与試験では、チオール基を有する化合物であるL−シスチンを経口投与(2000mg/kg)することで血中のフリー体AIMを増加させることが確認できた。

【実施例2ヒト臨床試験

シスチンを経口投与(2.1gを1回)した被験者の血清試料のウエスタンブロットにはAIMのバンドが出現した。

以上の結果から、チオール基を有する化合物には、通常血中に存在しないフリー体のAIMを増加させる作用があることがわかった。また、γ−グルタミルシステイン(ニンニクに多い)は低濃度で強い活性を持つことが確認された。したがってチオール化合物による血中のフリー体AIMの増加により、急性腎障害、脂肪肝肝細胞癌、肥満、真菌性腹膜炎、多発性硬化症等のフリー体AIMが関与する疾患の予防改善剤として期待される。

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※シスチンは牛ヒレ、鶏胸肉、カツオ、卵、大豆、小麦、湯葉、ゴマ、カシューナッツ燕麦しらす干しなどに多いです。。。

しかし、例えば、鶏肉からシスチン2g摂取しようとすると約10kg食べなければいけないし、γ−グルタミルシステイン2gをニンニクから摂取しようとすると約400g食べないけないので、サプリメントが販売されるといいなあと思います。

燕麦は猫草ですが、猫ちゃんに0.2g摂取してもらうためには約500gの猫草を食べてもらわなければならなくて…草は消化できないだろうし、そんなに食べさせたらきっと下痢します…シスチンの適切な量もよく分からないし…

 

2023年、年末に猫にAIMを投与した時の論文が投稿されると言われていましたが、まだのようです。

https://twitter.com/Toru51557911

 

フードやサプリが発売されました。ただ、毎日それだけシスチンを摂った場合、アミノ酸はインバランスにならないのでしょうか?心配な部分です。1週間に1回位にして様子をみるつもりです。2022.11

 

AIM30サプリメントの原材料は:
かつお粉末、デキストリンアミノ酸類(シスチン、メチオニンタウリン

なぜシスチンのほかにメチオニンも添加しているのでしょうか?

 

マルカンから3月1日に発売されます!AIM30 | AIM30はAIMの働きを助けるアミノ酸「A-30」を配合した猫の健康維持をサポートする総合栄養食です。腎臓の健康維持をサポートし、多くの愛猫が健康を維持し、長生きする事を願っております。 (mkgr.jp)

 

AIMのお薬はあと2027.1月上市の予定です。

本の内容を分かりやすく紹介しています⇩

東京大学宮崎徹教授 猫の慢性腎不全治療薬AIM製剤新着情報 | ねこけん (nekoto222.com)

宮崎先生の言葉が載っています⇩

宮崎 徹 教授による猫の腎臓病治療薬研究へのご寄付について | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)

そして、宮崎先生は、3月末をもって大学を離れ、代表理事・所長としてIAMに専任されます⇩

一般社団法人AIM医学研究所 | (iamaim.jp)

「ネコのおやつ」で腎臓病予防も 「機能しない」AIMを活性化する成分発見 東大大学院・宮崎徹教授インタビュー:時事ドットコム (jiji.com)

腎臓の働きを改善する遺伝子「AIM」でネコの寿命が2倍に!? | 広報誌「淡青」37号より | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)

ネコと腎臓病とAIM研究 | 2020年 | 記事一覧 | 医学界新聞 | 医学書院 (igaku-shoin.co.jp)