tama’s diary

慢性腎臓病の猫の治療記録

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」

ネットから…

https://mizoguchi-clinic-mega.jp/blog/clinic/421

さて、今日は、意外に知らない「造血剤」のお話です。

貧血の時には「造血剤」を処方しますが、これは「鉄剤」であることはみなさんご存知のことと思います。

ところがこの「鉄剤」に含有する鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があることをご存知の方は少ないのではないでしょうか?

この2つの鉄の大きな違いは、吸収率と消化管への影響の2点です。

消化管からの吸収率では、ヘム鉄は非ヘム鉄の5~6倍(日本人のデータでは、ヘム鉄25%VS非ヘム鉄5%)と言われています。
また消化管への影響では、非ヘム鉄は細胞内に取り込まれる際に、3価から2価への鉄となるのですが、この2価のむき出しの鉄が「むかつき」の原因となります。
一方ヘム鉄は、ポルフィリンと複合体をつくるため、そのような胃腸障害を起こしません。過剰摂取も起こりにくいと言われています。

さて、医療機関における保険診療で処方可能な経口鉄剤は以下のごとくです。
(※治療に使用する1日の常用量100mgで値段を比較)

フェロミア50mg/錠(20.4円/100mg)
②フェロ・グラデュメット105mg/錠(17.5円/100mg)
③インクレミンシロップ5%(101.7円/100mg)

残念なことに、このいずれもが「非ヘム鉄」なのです。
つまり吸収が悪く、胃腸障害をきたしやすいものしか、医療機関では処方できないのです。

インクレミンシロップは他の錠剤に比較して、むかつきは少ない印象がありますが、ご覧のように薬の値段が少々高めです。
(とはいっても、3割負担の方では処方料などを含めても1か月分で1500~2000円ですが・・・)

そして「ヘム鉄」となると、市販されているサプリメントに頼らざるを得ないわけですが、インターネットで検索してみると以下の「ヘム鉄」が上がってきました。
(※治療に要する非ヘム鉄100mg/日に相当するヘム鉄を20mg/日として値段を比較)

①DHC「ヘム鉄」(5mg/錠、約5.8円/錠⇒約23円/20mg)

ヘム鉄、ゼラチン、グリセリン脂肪酸エステル、セルロース、着色料(カラメル、酸化チタン)、微粒二酸化ケイ素、葉酸ビタミンB12

②アサヒ「ディアナチュラ ヘム鉄」(3mg/錠、約23円/錠⇒約160円/20mg)

コーンスターチ、プルーンエキス末(デキストリン、プルーンエキス)、セルロース、ヘム鉄、リン酸Ca、デンプングリコール酸Na、ステアリン酸Ca、セラック、葉酸ビタミンB12

フジテックス「ワカサプリ ヘム鉄」(3mg/錠、約36円/錠⇒約250円/20mg)

ヘム鉄(水溶性)、HPMC、結晶セルロースパントテン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ビタミンB6、ビタミンB12葉酸難消化性デキストリン、銅含有乳酸菌、モリブデン含有酵母黒胡椒エキス末(猫には合わないかな)✖

結構、各社で違うものですね。

結局のところ、健康保険を使えば比較的安く済みますが、「非ヘム鉄」なので飲めない方もいます。
市販のサプリを買えば簡単に「ヘム鉄」が手に入りますが、治療に使う高用量を摂ろうとするとお値段は高くなります。
DHCはかなり安いようですが、理由は不明です。。。ワカササプリは、造血に必要なビタミンB6、銅、モリブデンパントテン酸などが微量ながら含まれているので少々お高くなっているようです。

気を付けなければいけないことは、鉄剤の過剰な摂取です。
肝臓に鉄が蓄積すると、「ヘモジデローシス」と呼ばれる肝臓障害を引き起こします。
ですから、貧血の治療をする際は、医療機関で採血をして、血中に存在する「血清鉄」と細胞内の貯蔵鉄である「フェリチン」の双方ともに過不足ないこと確認しながら、鉄剤の内服量および期間を調整するのが安全です。

以上、意外と知らない鉄剤のお話でした。

 

nfkさま

5kg :DHCヘム鉄であれば、朝晩1/4カプセルずつで与えてほしい感じです。

5.6kg:ヘム鉄はディアナチュラ1/2粒

Q 現在「ディアナチュラヘム鉄」を1日半錠ずつ2回であげていますが、それでも下がってきましたので増量は可能なのでしょうか?
それとも「DHCヘム鉄」に変更したほうが良いのかどうかなども合わせてお尋ねしたいと思います。「DHCヘム鉄」は日量1/4×2回、1/3まで増量可と記録しております。
病院では造血ホルモン注射をすすめられましたが取り敢えず保留にしました。
「ダーブロック錠」も取り寄せることにします。

nfk様

DHCヘム鉄に変更して、一定程度までの増量は構わないと思います。

しかし腎性貧血は、腎臓の間質内のエリスロポエチン産生細胞が休止していることでエリスロポエチン産生不足が起こるので、ダ―ブロック錠でそれを再活動させるか、ネスプなどのESA製剤でエリスロポエチン造血ホルモンを注射するしかありません。

鉄を使用しての造血も限界があるので、近々ネスプなどの注射をするか、ダ―ブロック錠を開始するかを検討したほうが良さそうですね。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14244183659?__ysp=bmZr5qeY44CA44OY44Og6YmE