tama’s diary

慢性腎臓病の猫の治療記録

猫ワクチン関連肉腫に対して 根治的切除手術を行った7例

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvcs/4/2/4_2011-002/_pdf/-char/ja

Feline Vaccine Associated Sarcoma(FVAS)はワクチン接種を受けた猫のうち1万頭に1-3.6頭の割合で発生すると推測され、その正確な病因は不明である[21]。組織学的分類では線維肉腫以外に、骨肉腫、横紋筋肉腫、軟骨肉腫および悪性線維性組織球腫等が報告されている[9, 10, 12, 16]。FVAS は極めて悪性度が高く外科的完全切除が困難であり、過去の報告では局所再発率は26-59%であった[1, 3, 5, 6, 7, 10, 11, 15, 17, 19, 20]。また、犬や猫の線維肉腫の多くは転移の可能性が低いにもかかわらず、FVAS の転移率は22.5%であった[2-6, 13, 15]。
FVAS に対する様々な治療選択肢が報告されているが、広範なマージンを含めた外科的完全切除が最も重要な治療法と位置付けられており、転移性病変が存在しなければ早期に実施すべきである。外科的切除後の局所再発率に関する2つの報告では、完全切除で19%と22%、不完全切除で58%と69%であった[10, 19]。犬の軟部組織の肉腫に対する外科的切除は、2-3cm の側方マージンおよび筋膜1層を含めた切除が推奨されるが[8]、これを FVAS に適用すると高い割合で局所再発が起こるという報告がある[1, 3, 6, 7, 10, 11, 17, 19]。FVAS の完全切除には、側方マージンとして5cm 以上、深部マー
ジンとして筋膜2層、さらに必要があれば肩甲骨部分切除術、棘突起骨切り術あるいは片側骨盤切断術を併用することが推奨される[14]。このように FVAS に対する外科的治療プロトコールは他の肉腫とは相違するが、本邦ではあまり一般的に実施されていない。
筆者らは FVAS に対する治療をする機会をもったのでここに報告し、外科的切除法、術後生存期間および局所再発の有無について考察する。