tama’s diary

慢性腎臓病の猫の治療記録

薬剤性膵炎

膵臓に炎症を起こす急性膵炎は、抗てんかん薬、免疫抑制薬、抗原虫薬(トリコモナス症治療薬)などでみられるので、何らかのお薬を服用していて、次のような症状がみられた場合には、放置せずに、ただちに医師・薬剤師に連絡してください。
「急に胃のあたりがひどく痛む」、「吐き気」、「おう吐」がみられる。お腹の痛みはのけぞると強くなり、かがむと弱くなる。 



これまで、膵炎誘発の可能性のある 100 種類以上の薬剤が報告されている 5),19)20)。このうち、表 3 に示した 4 つの要件をすべて満たす薬剤(definite association)で我が国で販売されている代表的なものを表4に概説する。

①抗てんかん
バルプロ酸ナトリウム、カルマバゼピンによる薬剤性膵炎が報告されている。中でもバルプロ酸ナトリウムは報告例の最も多い薬剤である(表5)。

ステロイド
ステロイド薬は古くより膵炎の原因薬剤として報告されてきた 34)。
チャレンジテスト陽性の報告も 2 例ある 29,30)。投与量の増加に従い膵液の濃縮や膵管上皮の増殖が起こり、相対的な膵管閉塞機転が生じた結果、膵炎が発症すると考えられている 36,37)。しかし、ステロイド薬は臨床的に重要な疾患に対し他剤との併用で用いられるため、基礎疾患や併用薬剤の関与が否定できないことが多い 38)。ステロイ
ド誘発膵炎の動物実験も報告されているが 39)、再現性に問題がある。
また、急性膵炎に対しステロイド薬が奏効するという逆説的な報告もあり 40)、現在ではステロイド薬と膵炎発症との関連については否定的な意見が多い。 

表6 過去 10 年間(2009 年~2018 年)に我が国で報告された薬剤性膵炎*の原
因薬剤別の頻度 (n=10 例以上)
独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページ
http://www.info.pmda.go.jp/)より。

https://www.pmda.go.jp/files/000240119.pdf