tama’s diary

慢性腎臓病の猫の治療記録

食事と尿路結石 

泌尿器の健康を維持するために

食事と尿路結石

第2章でも説明したとおり、猫の身体はもともとの生活の場である砂漠の環境に適応するために非常に濃い尿を排泄するように作られています。そのため、尿路結石ができやすい動物です。

尿路結石の一般的な症状は次のようなものです。

  • 頻繁にトイレに行く
  • 痛みを伴う排尿
  • 血尿

もし結石が尿道をふさいでしまうと猫は排尿をすることができず、処置をしないと24時間から48時間で死に至ってしまいます。

尿路結石の種類

猫の尿路結石には数種類あることがわかってきており、その種類によって対策は異なります。

ストルバイト結石

1990年代までは、「ストルバイト結石」と呼ばれるリン酸マグネシウムアンモニウムの結石が非常に多く見られました。
ストルバイト結石の形成にもっとも影響を与えるのは尿のpHです。pH6.5以下の弱酸性では、結石の形成がほとんど起こりません。反対にアルカリ性の尿では、ストルバイトの尿に溶けることのできる量が少なくなり結晶が形成されやすくなります。
また、マグネシウムはストルバイト結石を構成するミネラルであり、多く摂取することで尿中に排泄され、ストルバイトが作られやすくなります。
これらのことから、ストルバイトのリスクを軽減するためには、酸性の尿を作る食事を与えることと食ベ物に含まれるマグネシウムの量を調節することが必要です。
また、尿量を増やして尿を希釈することも重要です。

シュウ酸カルシウム結石

シュウ酸塩結石は以前は非常にまれな症例でしたが、近年発生率が上昇しています。この種類の結石は高齢猫にもっとも多く現れる症例であり、バーミーズやヒマラヤン、ペルシャなど特定の猫種のオス猫は、去勢されたか去勢されていないかに関係なくこの結石ができやすい体質を持っています。
また、シュウ酸カルシウム結石は一度できてしまうと内科的な治療で溶かすことができず、外科的な処置で取り除く必要があります。
この結石はストルバイトとは異なり、尿pHの影響をほとんど受けません。そのため、シュウ酸カルシウムを起こりにくくするためには、尿中のカルシウム濃度を低くおさえることが重要です。
しかし、血液のカルシウム濃度はさまざまなしくみで一定になるようにコントロールされているため、食事中のカルシウムを減らしても尿中への排泄量を減らすことはできません。
これらのことから、シュウ酸カルシウムのリスクをおさえるためには、水分摂取量を増やして尿量を増やし、尿を希釈することが何よりも大切です。

運動量の影響

濃い尿はすべてのタイプの尿路結石を形成しやすくするため、尿が濃くなりすぎるのを避けなければなりません。猫の運動量が低下すると、さらに飲水量が少なくなり、尿が濃くなる原因になります。 気温の変化によって運動量が低下することがありますが、一番の原因は肥満です。肥満になることで、尿路結石のリスクは数倍に上昇します。
尿路結石が起こりにくくするためにも、太らせないことは重要なのです。

https://hnlp.study.jp/default.aspx#_ga=