tama’s diary

慢性腎臓病の猫の治療記録

回虫

回虫に付いての基礎知識を書いて置きます。

回虫が猫に寄生する経路は、三通り有ります。
① 生後2~3ヶ月の子猫に寄生している場合は、ほとんどが母乳からの感染です。
母猫の体内で休眠していた回虫の幼虫が、妊娠によるホルモン変化で目覚めます。⇒ 幼虫は血液に乗って移動し、母乳に混じります。⇒ 子猫が母乳を飲むと、消化器に入り込み、小腸で成長して、約6週間で産卵する大きさになります。(雌雄異体)
回虫の寿命は2年程度だそうです。

② 成猫の場合は回虫卵から、感染している場合が多いです。
猫の便に混じって排泄された回虫卵は、7日程(1日という説も有り)すると卵の中で細胞分裂をして「幼虫包蔵卵」になります。
この幼虫包蔵卵が猫の口に入ると、胃・腸に入ると孵化をして、回虫の幼虫(10μmほどの大きさ)が出てきます。⇒ 幼虫は小腸壁に潜り込み臓器に侵入します。 ⇒ 幼虫は3~5週間程度で子虫になって、肺に移動して気道に出ます。(成長の度合いは個体によって異なるので、順次出て来ます。一部は臓器の中で休眠) ⇒ 気管支・食道を這いずって移動して、小腸に成虫に成ります。小腸に移動してから3週間ほどで成虫に成ります。(猫の体内で孵化してから7~8週間で排卵する。)
(「猫の体内を廻る虫」なので「回虫」と呼ばれるようになったそうです。
経口の駆虫薬は、腸内の成虫は駆除できますが、猫の体内にいる幼虫にはほとんど効きません。

③ ネズミなどが、待機宿主に成ることが有ります。
(ネズミが回虫卵を食べてしまうと、その体内で孵化し幼虫が臓器にいる場合もあります。)
待機宿主となったネズミを食べると、幼虫が子虫になって、猫の小腸に寄生します。


回虫には、「母乳感染と、回虫卵感染」が有りますが、母乳感染の場合は感染してから約6週間、回虫卵経由の場合は約8週間経過しないと、産卵しません。(その期間をプレパテントピリオドPPPと言います。)
そのため、検便をする場合は8週齢を過ぎてから行います。


回虫を駆除するには、経口薬と滴下薬が有ります。
経口薬だと「ドロンタール」が有名です。(回虫と、ウリザネ条虫に効きます。)
滴下薬(首筋に塗布すると皮膚から吸収され、血流に入る。)だと、「レボリューション」(回虫と蚤)、「ブロードライン」(蚤・回虫・ウリザネ条虫)、「プロフェンダー」(回虫とウリザネ条虫)などが有ります。

「回虫卵経由で寄生した回虫」は、1回の投薬では駆除しきれないことが多いです。
3~4週間間隔で複数回の投薬をすることが一般的です。
( 2回目以降は、検便で卵を確認してから投薬する場合と、調べないで投薬してしまう場合が有ります。(獣医さんしだいです。 便に回虫卵が入っていても検便で発見できる確率は50~75%程度だそうです。)

前述のように。回虫卵は産卵後1週間ほどしないと孵化しません。
その為、トイレの便を毎日片付けていれば、卵から再感染する確率は殆ど無いです。
回虫卵は便の中に混じっているので、便を捨てれば猫砂を毎回捨てる必要は無いです。

猫に因っては「お尻に便が付いたまま」の子もいます。その場合は、
猫の肛門が汚れたら、お風呂場で洗ってやれば良いでしょう。(肛門周りに便が付いたままだと、部屋に破片が落ちる恐れは有ります。)

心配であれば、猫の使っているマット等を、70℃以上のお湯に3分以上浸けてください。(虫卵の蛋白質が固まって死にます。)

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13294260143