タンパク質:30~40%
脂質:25%以下
炭水化物:35%以下
肥満はリスク因子
①高たんぱく/低炭水化物(20%以下)
②高繊維/高炭水化物(40%以下)
膵炎
膵炎とは、消化酵素による膵臓の自己組織傷害によって生じる疾患。
膵臓線房細胞の85%が外分泌機能を失うと消化吸収不良の症状が現れる。
消化吸収不良は消化酵素の不足の他、小腸粘膜の萎縮、粘膜への炎症性細胞への浸潤、粘膜細胞レベルにおける酵素活性の変化などによっても影響を受けている。腸内細菌の過剰繁殖も酵素分泌不足に起因すると考えられ、ビタミンB12や脂溶性ビタミン(A、E、D、K)の吸収不良も起こりやすい。
急性膵炎と慢性膵炎の明確な区別はないが、一般的に、膵炎が長期化して膵組織の非可逆的な構造変化が生じ恒常的な機能低下に陥りかねない状態を慢性膵炎と呼ぶ。
慢性膵炎のほとんどが、肝臓・胆管あるいは腸の炎症疾患に併発する。
猫では慢性膵炎の50%以上が食欲減退、体重減少、間欠的な嘔吐を示す。
急性膵炎の回復期の食事管理
猫の場合も、脂肪含量の少ない、繊維分を豊富に含んだ高消化の食事を少量ずつ与える。
急性膵炎の予防
肥満や高脂血症は膵炎発症のリスク因子と言われており、また過去に膵炎の既往歴がある動物も注意する。
膵外分泌不全の治療
膵酵素剤を給与する。軟便や下痢が治まり体重が増加してきたら、消化酵素の最小必要量を検討する。繊維が少なく脂肪を制限した食事が好ましく、このような処方によっても目的体重に達しない場合は中鎖グリセリドを添加してカロリーを補給する。さらに、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)やビタミンB12の補給を検討すべきである。
◎一般に生涯にわたる消化酵素の補充が必要である。
・ビオイムバスター錠
https://www.kyoritsuseiyaku.co.jp/products/detail/product_20008.html
ビオイムバスターには有胞子性乳酸菌とパンクレアチンが入っています。乳酸菌が必要のない子にはヒト用の「ケンエー」というパンクレアチンだけの製剤がいいかもしれません。(乳酸菌が合わない子や必要のない子もいます)
https://www.kenei-pharm.com/medical/products/2707/
・胃が悪いとビタミンB12の吸収も悪くなります。ビタミンB12は水溶性ビタミンで、過剰に摂取したとしても体内に蓄積されにくいのて、サプリメントで補う場合があります。必要のない子に投与すると吐き気を催すことがあるそうなので、獣医さんに相談して下さい。
ヒトの膵臓病の話ですが、分かりやすいです⇩
https://www.jsge.or.jp/citizens/hiroba/backnumbers/hiroba18/hiroba18_04
慢性膵炎と診断された人には、一律に脂肪を控えてもらっていましたが、今では痛みなどの症状がない場合は脂肪をとるように推奨しています(消化酵素薬の内服が必要な場合があります)。慢性膵炎が進行し、膵臓のはたらきが低下すると食べ物を消化する力が低下します。とくに脂肪の消化吸収がわるくなりやすく、その場合には生きていくのに必要な必須脂肪酸や脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の吸収もわるくなります。そのため、慢性膵炎の食事療法では、病状に応じて消化酵素薬を十分量服用することが大切です。
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/suien_2.html
膵臓は重要な酵素とビタミンB12の吸収に必要なカルシウムとを提供するので、膵機能不全もビタミンB12欠乏症に寄与する可能性がある。
ビタミンB12欠乏症:舌の痛み、食欲喪失、および便秘と関連がある。
以下、古い資料ですので、参考程度に…
「膵炎の食事管理 ペット栄養学会誌,19(1):33 - 36,2016」
猫においてはまた趣が異なる。猫の栄養要求は犬とは大きく異なり、炭水化物耐性が低い傾向にあり、脂質や蛋白質の要求量が多く、脂質の耐性は高いとされている。
先に述べた急性膵炎の猫55匹に対して経鼻カテーテルからの給餌で栄養管理を行った報告では、脂肪含有量45%の液状フードを用いているが、症状の悪化や付随した合
併症なども認められず、十分に許容可能であったとしている8)。これらの例からみても、猫においては犬と比較して脂質に対する配慮はあまり必要ないものと思われ
る。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/19/1/19_33/_pdf/-char/ja
「膵炎の食事管理 ペット栄養学会誌,18(第17回大会号),2015」
急性膵炎の治療において栄養療法は極めて重要な役割を果たす。膵炎の治療において演者が心がけている食事管理のポイントをあげるとするならば、①なるべく早期の経腸栄養を始めること、②栄養チューブは食道チューブで十分(だと思われる)、③犬には低脂肪食、猫はあまり気にしない(?)、といったところである。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/18/Suppl/18_suppl_15/_pdf/-char/ja
「腎臓病用療法食に変更したことでインスリン投与量が減量できた猫の2症例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/22/Suppl/22_suppl_37/_pdf/-char/ja